Saturday, June 22, 2013

ゆらぎ

この時、わたしはとにかく
湖畔で焚き火がしたい!
そして
ホットウイスキーでも飲みながら
静かに朝陽を待つ。
という、まるで村上春樹の小説のような内容がしたい衝動に駆られて
そうして、夜な夜な買い出しをして
車を飛ばして
あてもなく富士五湖に向かった。
その頭に描いている理想の湖畔を勝手に
それは五湖のうちの本栖湖だろうと決めて
向かったそこは、まさに理想中の理想の湖畔を携えた場所だった。
得てして、わたしはこうゆうとき野生の勘みたいなものが非常に冴えている。

午前3時すぎ。
辺り一面は闇。
懐中電灯の灯りを頼りに
薪になりそうな流木を拾い集めて
丁寧にくべる。
着火剤に火をつけ、新聞紙に炎が行き渡ると青白く燃え始めた。

先ほどまで辺り一面の闇だった夜の帳も
白々と刻々と明け始めている。


流木がぐらりと傾いて
火の粉を散らした。


炎を眺めながら
ホットウイスキーを啜った。


贅沢な時間。


聴こえるのは
山に木霊する鳥のさえずり
鹿の鳴き声。

風の音。

水の音。

燃える炎の音。


心静かな時間が流れる。


そう、実はすべてこれらの音は「1/fのゆらぎ」。

1/fのゆらぎとは、ピンクノイズとも呼ばれていて、

自然界に存在する波の音、
星の瞬き、風の吹く音、
小川のせせらぎ、炎などの波長は「1/fのゆらぎ」を持っていて、
規則的でも不規則でもないその揺らぎが、人の心を癒す効果があるのではないかと言われている。

そして、気持ちいいと感じている時は、
私たちの脳も「1/fのゆらぎ」状態になっているとか。


あえてつくる
「何もしない」をする時間。



Hiromi

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